天誅組 ~西田を巡る冒険

番外小説

プロローグ

その資料を初めて見たのは、平成の終わり頃。夏の初めだった。 黄ばんだ大学ノートに、漢字かな交じりで、横書き、一行ごとにつづられていた。 きれいに整った文字で、読み解くには特段問題はなかった。 冒頭に、以下のとおり文章全体の説明があった。 昭和…

【番外小説】 龍馬暗殺

龍馬暗殺 壱 龍馬モノローグ 慶応3年11月。京。早朝。 河原町通り蛸薬師の、酢屋の店先に、大男が現れる。 くたびれた着物。桔梗紋。革靴。 大きく伸びをして、通りを眺めわたし、肩をゆすって歩き出す。 坂本龍馬である。 大政奉還は先月の14日。もう、半月…