天誅組 ~西田を巡る冒険

2019-04-30から1日間の記事一覧

江戸から来た男 小説天誅組外伝(その三)

その日、文久三年八月十七日。仁は五條の旅籠に泊まり、翌日、代官所の焼け跡等を見て回った。 仁。歳は二十五歳。黒の羽織と袴には江戸からの旅の砂塵が染みついている。当世風の細い月代。道場で鍛えた長身の体は、夏から秋の旅でさらに絞られていた。 本…

江戸から来た男 小説天誅組外伝(その二)

壱 挙兵 五條に近づいていくと、黒い煙がたなびいているのが遠望できた。火事だ。 街に入ると、騒然としている。代官所と思しき屋敷に向かって、人々が駈けつけているのが見える。半鐘が鳴り響いている。すでに、始まっているらしい。 路上に、代官所から上…

江戸から来た男 小説天誅組外伝(その一)

奈良県東吉野郡鷲家口に、「天誅組志士西田仁兵衛先生戦死之地」と記された石碑がある。 この地は、幕末の浪人集団である天誅組(てんちゅうぐみ)が最後の突撃を行い、壊滅した場所である。 文久三年八月、突如、天誅組は大和五條の代官所を襲った。孝明天皇…

新撰組と天誅組(その2)

第二回も新撰組の話題で行こうと思います。壬生浪士組と称していた、芹澤、近藤らは、八月十八日の政変での働きが認められ、会津藩主松平容保から、新撰組の名をいただくことになりました。八月十八日の政変は、会津藩と薩摩藩が結託して起こしたクーデター…

新撰組と天誅組

唐突ですが、天誅組のブログを始めます。 「天誅組~西田を巡る冒険」 副題は、おいおい説明いたします。 まず、天誅組ですが、知っている方は少ないのではないかと思います。ですので、皆さんの良く知っている新撰組の話から、始めたいと思います。 新撰組…